それは本当にいつも偶然の出来事。
朝、雨戸をあけるとき。
洗濯物を干すためにベランダに出るとき。
夕方に雨戸を閉めるとき。
そのほか、天気が気になりカーテン越しに外を覗くとき、そんなタイミングでいつも同じ人と目が合う確率が高い。
それは中型のミックス犬を連れた年配女性。
犬の散歩コースや散歩時間はほぼ決まっているだろうから同じ人をみかけることは珍しくない。
しかし、その女性は頻繁に散歩をしているようで、よく見かけるうえによく目が合う。
目が合うのはあちら側もこちらを気にしているからだろう。
こちらが雨戸をガラガラ開ける音に反応し、こちらを見るのだと思う。
しかし、その瞬間に女性は連れている犬のリードを強くひき、早くその場から早く立ち去ろうと焦っているように見える。
もしかしたら。
ずっと悩まされてきた我が家の外壁への犬のマーキング。
人感センサーライトや犬除けのスプレーも使った。
ある時は犬の散歩時間を狙って、あからさまに壁をゴシゴシこすって迷惑アピールをしたこともある。
そのようないろんな対策を講じてきたせいか、以前よりは少なくなってきたように思える。
その女性のビクビクしたような態度をみると犯人の一人はあなただったのか、と思わざるを得ない。
ここまで偶然が重なると、相手は私がいつも見張っているのだと思っているのだろうか。
その女性は自分が家の前を通る瞬間を狙って、わざと私が雨戸を開けているのだと思っているのかもしれない。
私がいつも見張っているというアピール。
まさかそんなホラーなことはしない。私はそんなに暇じゃない。
そんなビクビクしながら毎日散歩しているのだろうか。
ともあれ、その迷惑行為が減ってきたのは事実。
ようやく、自分たちがしてきた迷惑行為に気付き始めたのだろう。
少しほっとしている。