実母からたびたび送られてくるハンドメイドの品々。
ポーチやスカーフ、手提げバックやクッションなど様々。
母は若いころ洋裁学校に通っていたため洋裁は得意でそれなりに技術はあるのだと思う。
しかし、なにせセンスがない。
送られてくる品々が野暮ったい。とてもじゃないけど使いたくないものばかり。
布一枚単品で使用するならまだしも、どうしてその柄とその柄を組み合わせるの?というような不思議なセンスで作り上げられた作品はとてつもなくダサい。
母いわく、お金をかけない、布地をわざわざ購入しないというのがモットー。
着なくなった洋服や、もらってきた布地、買ったとしてもフリーマーケットやバーゲンなどで本当に安価な布地を使うことにこだわっている。
それはリサイクルにもつながるからと。
わざわざ高いお金をかけて布地を買ってまでやることではないと豪語している。
そんな母の思いを聞きつけて母の友人たちは、自分の使わなくなった布地などを譲ってくれるようになった。
だから実家には布地や洋服などが大量にある。
もはや、無料のごみ収集所とばかりに都合よく押し付けられているようにも思えてしまうほどの粗悪な品々がわんさか。
全部もらうのではなく、使えそうにないものは断った方がいいんじゃないの?と伝えても、せっかく持ってきてくれるのに悪いから断れないという。
母も自覚しているのだ。
そんな粗悪な布地で作られたものをたびたび送られても本当に困る。
一時期、母の中でブームだったのか、同じ形の柄違いのポーチばかり送られてくることがあった。
ポーチならいくらでも使い道があるでしょ、何個あってもいいでしょ、と言われたがそんなに必要ない。
どんなにセンスのよい好みのポーチだとしても1個あれば十分なのに。
もうそんなに使わないから送らないでと伝えると、それなら返してといわれ、実家に帰省するタイミングで母に返したこともあった。
今は子供の誕生日やクリスマスにプレゼントを贈ってくるその箱にハンドメイド品が一緒に入ってくることも多い。
スキマがあったから詰めておいたよ、とついでに入れておいたからと言わんばかり。
ため息が出る。
もういっそのこと、母にはなにもいわずに捨ててしまおうかとも思うのだが、それもなかなかできない。
せめて母にセンスがあったなら、知人にも配れるし、今の時代はネットで販売もできるのに。
不器用な私からすれば、そのせっかくの技術がもったいないと感じている。