実家に行く日が近づくと気が重くなる。
今は父の認知症の症状も落ち着き、デイサービスに行く回数も増やしたため、母の負担がだいぶ減った。
よって私もそれほど実家に行かなくてもいいのだが母の期待がある。
近くに住んでいるきょうだいに頼ってばかりも悪いため、私も義務感で実家に帰省する。
気が重い原因のひとつは荒れたあの家。かなり散らかり放題でほこりっぽい部屋。
帰省後はまず掃除機をかけるところからはじまる。
母は「年取るとなにもかもが億劫でね…」と言い訳を始めるが母の掃除嫌いは昔から。
今に始まったことではないのだ。
しかし、やはり年々今まで以上に荒れてくるこの部屋をみると加齢が掃除嫌いを加速させているのは間違いない。
台所の床はいつも食べこぼしや紙クズなどが落ちている。
なぜ、落ちたその時に拾わないのだろうと思いながらテーブルの下に入り込んで掃除していると、また母が言い訳をする。
「かがむのもつらくてね」と。
言い訳をされるとイライラする。年のせいではなくずっと前からでしょ、と怒りたくなる。
言い返したくなるのをぐっとこらえてやり過ごす。
汚い部屋、母の言い訳。そして父の介護の愚痴。
話しを聞くことが今の私にできる最大の親孝行なのだろうが、それが一番気が重い。
実家に帰ったとたんに早く帰りたい、と毎回思っている。