最近、気になるのはゴミ収集車の作業員。
9時過ぎ頃、軽やかな音楽を鳴らしながらやってくるゴミ収集車。
子供たちを学校へ送り出し、掃除や洗濯を済ませて、仕事にとりかかる時間帯。
パソコンを立ち上げ、メールチェックをしているころに聞こえてくる作業員の声。
ウェーイ、ウェーイ(私にはそう聞こえる)と大きな声。最近はその声に少しときめくようになった。
その声は、ゴミ回収が終わり、収集車をバックさせるために運転手に合図している声のようだ。
最初こそは、あれはなんて言ってるんだ?と感じる程度だったが、次第に気になるようになった。
オーライなどの掛け声ではなく、はっきりしない言葉で、少し気怠そうにも聞こえる。だが声だけは大きく周囲に響き渡っている。
思春期の男の子のような反抗的な声とでもいうのだろうか。そこになんだか愛着が湧くのだ。
だからといって、窓からのぞいてどんな顔なのか見てみようとは思わない。
その声を毎朝楽しみにしているわけでもなく、そのひとときが終わればその後に思い返すことも一切ない。
その声が聞こえてくると、ああ、ごみ収集の時間か、と思うだけのこと。
まあその程度のトキメキ。
在宅ワークで人に合わず、家にこもっている時間が長いと周囲の音や声に敏感になってくる。
ほほえましいはずの子供の遊ぶ声や、家の前を通る老人たちの会話もうるさいなと感じることも増えた。
こっちは仕事しているんだから静かにしろよ、と小声で毒づくこともある。
イヤな傾向だなと思う。冷淡な人間になっちまったな、と感じる。
そんな声にもときめくことができるなら平和なんだけれど。