長い付き合いの友人から、円形脱毛になってしまった、と画像付きのLINEが送られてきた。
美容院で担当美容師さんに指摘されてはじめて気づいたという。
その画像をみるかぎり、そう大きな脱毛ではないと思ったが、実際にほかの誰かのものをみたことがないので度合がわからない。
大きさがどうであれ、彼女がショックをうけたことには変わらない。
実は彼女は20年以上前にも一度、10円程の大きさの円形脱毛ができたことがある。
当時、長く付き合っていた恋人に別れを告げられて彼女は随分と落ち込んでいた。
その彼と職場が同じだったため、結果的には彼女が仕事を辞めることになり、恋人も仕事も失った。
その出来事がおそらく円形脱毛症の原因だったのだと思う。
恋人と別れてだいぶ月日がたってから、心療内科に行ってきたと聞かされて驚いたのを覚えている。
もうとっくに彼のことは忘れて日常を取り戻しているように思っていたのに、まだそんなにも心が疲弊していたことに気がつかなかった。
そばにいたのに気付けなかったこと、相談相手になれなかったことに対して申し訳なく思った。
そんな彼女がまた円形脱毛症になってしまった。
円形脱毛症は3カ月から半年前のストレスが要因になるそうだ。
しかし彼女には思い当たる節がないという。それほどのストレスを感じた覚えがないという。
現在、彼女は専業主婦で子どもはいない。私と同じ地元で、自分の実家に近い距離に住み、高齢の両親の家に頻繁に通う。
持病を抱えている父親の病院の送迎やら、母親の話し相手やら、なにかと忙しいらしい。
父親は病気と老いで体の自由が利かなくなるにつれて、我がままがひどくなり、一緒にいるとイライラすると愚痴をこぼしていた。
そんな父親といる母親は、夫婦二人でいるのが嫌で頻繁に娘を呼びよせるのだとか。
それが脱毛の原因なのではと問うと、そうかもね、でもコロナも原因なのかもしれないという。
コロナ禍により、彼女のご主人は一時期リモートワークとなった。さらにもともと買い物や旅行好きな彼女にとって、外出自粛は大きなストレスとなったに違いない。
そんないろいろな要因が重なっているのかもしれない。自分でも気が付かないうちに大きなストレスとなっていたのかもしれない。
これまで、彼女とは年に1、2度は会っていたが、コロナ禍になってからは全く会っていない。
そろそろ彼女にあって色々話をしたいと強く思った。