20年以上前、毛深いのをずっと気にしていた私は意を決して永久脱毛にトライした。
そのころはまだインターネットも一般的には普及していないころ。もちろんスマホなんて影も形もなく、現代のようにネットを検索して多くの情報を知ることができなかった時代。情報源は新聞広告や雑誌、テレビやCMなどからしか得られなかった。
そんな少ない情報から選んだのは、新聞広告のチラシでお得なキャンペーンを展開していた大手エステサロンのTBC。有名芸能人がテレビCMに出演していたことに安心感もあり、気持ちが押された。そして無理なく通える店舗が近くにあったこともあり、さっそく体験施術を予約した。
そこでの施術はニードル脱毛といって毛穴に細い針を刺し、微量な電流を流して毛根を少しずつ破壊していくという方法。一本一本施術していくため、膨大な時間と費用がかかる。体験エステの際の説明でも完了するには2年ぐらいかかると言われて愕然としたものだ。
しかし、それでも自己処理に限界を感じていた私は、毛深さから脱却するにはここしかないと思い、申し込みを決めたのだった。
針を刺し、おまけに電流まで流すわけだから痛くないわけがない。傷みに耐えられずに体験施術で断念する人もいるという。
しかし、私にとっては我慢できる傷みだった。しかも何度も通ううちに徐々に慣れていき、施術中には寝てしまうこともあったほど。
エステティシャンにも言われたが私は傷みには強い方だと思う。
最初は脇の脱毛から始めたが、一番気になっていたひざ下も同時にやることにした。
多額の費用がかかった。それでも徐々に毛がなくなっていく経過をみると、もっとつるつるにしたいという欲望が出てくる。
もうやめよう、もう十分ではないかと何度も思った。
しかし、ここまでお金をかけたのにこんな中途半端でやめてしまったら意味がないではないか、という思いにかられ、半ば執念で続けた。
途中、やはり金銭的にきつくなり、行かなくなった時期もあったため、自分の中でもう終わりと納得できるまでには3年以上はかかったと思う。
もちろん、この終わりまでの年数は、個々の毛量や通い方、 満足度にもよるため、個人差があるだろう。
脇は範囲もせまく、全てなくなれば終わりとなるが、ひざ下はそうはいかない。範囲も広いため時間がかかるし、終わりがみえない。
人によっては、太い目立つ毛だけを抜き、まばらに薄くなればいいという人もいれば、細い毛まで全部つるつるになることを望む人もいる。私も最初こそは金銭面を理由にまばらでいいと思っていたが、徐々に毛がなくなるにつれ、せっかくならつるつるにしたいと思うようになり通い続けた。
― そして20数年後の現在 ―
見事に毛は生えていない。
両脇もひざ下もつるつるのままだ。
莫大な費用と時間がかかってしまったが結果オーライだと思っている。
夏も気にせず水着を着れたし、足だって堂々と見せることができた。
しかし今…
ムダ毛よりもぜい肉や日焼けが気になるようになった40代の現実は、水着の時には常に長袖のラッシュガードとレギンスがかかせない。 太い腕と太い脚、ノースリーブやミニスカートなど着られるわけもなく、つるつるになった脇も足も見せる機会は全くない日常を送っている。