先週末、用事のため久々に電車で出かけたときのこと。
ある駅に着いたとき、制服を着た高校生ぐらいの男の子とその母親と思われる女性が乗車してきた。
私のすぐ近くの座が二人分空いていたため、そこに座った親子。とたんにふわっと強烈な臭いが漂ってきた。
そう、ワキガ臭。
私の向かい側の席に座っていた若いカップルがその親子を見ながらこそこそと話し始めた。
きっと彼らにも臭いが届いたのだろう。今まで少しも臭わなかったのが、その親子が入ってきたとたん臭うようになったということは紛れもなくその親子のどちらか、おそらく男の子だろう。
秋とはいえ、まだまだ残暑きびしく汗をかく時期ではあるがこんなにも臭うものなのだろうか。
体質なので気の毒だとは思うが、しかし強烈。汗の臭い、体臭とはまた違った独特の臭い。
以前勤めていた会社にワキガの男性がいて、かなり周囲を困惑させていた。気持ち悪くて隣にいられないとうったえる女性もいたことを思い出した。
それと同じ臭いかどうかはわからないが、このなんともいい難いこの臭いの部類は同じだ。
一緒にいる母親は気づいているのだろうか。何か対策をとってあげているのだろうかと他人事ながら心配になる。
年頃の男子。親にあれこれ言われたくもないだろう。言っても素直に受け取ってくれないだろうとは思うが、本人のためには正直に伝えるのが親の責任。
実は我が家も一時期、我が子から漂ってくる臭いに戸惑ったときがある。
学校から帰宅しリビングに入ってきたとたんに広がる不快な臭い。
それまで全く臭いなど気になったことなどなかったため、何が起きているのかわからならなかった。
それからしばらくの間様子をみたが、やはりその日がたまたまだったというわけではなく、日々臭う。
私は子供に正直に「ちょっと最近くさいよ」と伝え、対策をねった。ネット検索し、汗拭きシートや口コミで高評価の脇に塗るデオドラントを購入し、子供に使わせた。
そしてなにもわかっていない子供に、自分の脇のにおいと洋服の脇部分のにおいをかがせて自分から発する臭いを自覚させた。
最初こそ反抗的だったが、その脇の臭いが衝撃だったとみえて、それからはマメに対策をするようになった。
年頃の子がクサいなんて言われたくないだろうとは思うが、こういったことを言ってあげられるのは家族しかない。
友達は遠慮していってくれないし、あげくに影で噂されて辛い思いをするんだよ、自分がよくても人に迷惑をかけるんだよ、と切に伝えた。
あれから何度か季節が変わったが、幸い、今はあの時のような臭いはない。
成長期にある一時のものだったのかもしれない。
おそらく「ワキガ」ではないのかもと安堵しているが、大量に汗をかく夏に手入れを怠ると臭う時があるため、人より体臭が強めの体質なのかもしれない。
スメルハラスメントという言葉もあり、今は臭いは周囲に不快感をあたえ、人間関係や社会生活がうまくいかなくなる原因にもなる。
本人の自覚と家族の助言が必要不可欠だと思う。
どうかあの電車の男の子がこの先傷つかないよう、それなりの対策をしくれていることを願っている。