一緒にシフトに入ることが多かったパートさん。4月からのシフト表に名前がなく、どうしたのかなと思っていた。
以前、フルタイムの仕事を探していると聞いたことがあったため、仕事がみつかってこちらをやめたのかなと想像していた。喜ばしいことだとすら思っていた。
しかし、社長から教えられたのは彼女を戦力外通告したとのこと。
これまでの彼女は遅刻や急な休みが多く、やむなく固定シフトから外したということだった。
辞めさせたわけではないらしい。今のご時世、パートとはいえ、急な解雇はいろいろ問題があるのだろう。
固定シフトではなく、繁忙期や誰かの休みの代理として入ってもらうとのことだった。
そんなのありなのか。いつシフトに入れるかわからない宙ぶらりん状態。
結局、辞めさせたとのと同じ。自主的に辞めざるを得ない状況にしているのだ。
ひどいことをするものだ。彼女が気の毒に思えた。
私とシフトが同じことが多かったとはいえ、彼女とはスタート時間が違う。だから私は彼女の遅刻を知らない。
ましてや、私と一緒の時に急に休みだったことは記憶にない。
だから、なぜ?という疑問しかなかった。
彼女は最初こそ、無口で愛想がなく、つかみどころがなかった。私も何を話せばいいかわからずに、一緒に仕事をするのが苦痛だった。
しかし、徐々に慣れ、プライベートな話もするようになった。最近では、打ち解けられたと感じていた。
いつまでも気を遣われて距離を感じるほかのパートさんよりも彼女と一緒に仕事をする方が心地いいとすら思っていた。
それなのに。
一緒に仕事をしていくうえ徐々に感じたことは、彼女は我が強いタイプ。自らの意見をはっきりという。だいぶ年上の私に対しても臆することなく、あれこれと作業の指示を出してくる。
年下ではあるが、仕事の上では私よりはるかに先輩であり、気を遣われずにテキパキ指示してくれるのはむしろ有難かった。
なかなかいないタイプだとは思っていた。
私が思うに、彼女の仕事ぶりは真面目だったように思っている。しかしあまり愛想がないことで、ほかのパートさんとのコミュニケーションが薄かったのは否めない。
社長はそんな彼女とそりがあわなかったのだろう。彼女を気に入らないと感じていたことは、私にも察しがついていた。
彼女に対する態度や言葉がほかのパートさんに比べて冷淡だったからだ。
おそらく、ほんの少しの遅刻や欠勤を理由にして、固定シフトから外したようにしか私には思えないのだ。
ここ最近はパートさんが増え、人手不足が解消された。人員が安定したことで、社長にとって不要な人を追いだした。
私にはそうとしか思えない。