2018年11月に公開されたドキュメンタリー映画を再編集、再構成した特別編。
アルツハイマー型認知症を発症した母親とそれを介護する高齢の父親。
テレビディレクターである娘がその日常を記録した映像である。
見ていて心が痛かった。
自分の親もいつかはこうなってしまうのだろうか。
アルツハイマー型認知症は人によって症状は様々だろう。
この母親は、忘れていくことを覚えている。
「わからん、ばかになってしもうた。」と嘆き、「迷惑かけるね」と謝る。
それを励ます娘とこれも運命だといい寄り添う父親。
「私がなんでもしてあげる」と優しい言葉をかける娘に「ありがとう、ありがとうね」という涙ながらに言葉を返す母親。
決して映像をとっているからというわけではなく、いい親子関係を築いてきた結果だろうと思った場面だった。
もちろん、時に介護は壮絶。
家事が進まなくなり、たまった洗濯物の上に寝てしまう母親。
ヒステリックに叫び、それをわがままだと怒る父親。
反面、今までやってこなかった家事を健気に引き受ける95歳の父親
曲がった腰で少しずつ進みながら行く買い物。
しんどいと言いながらも休み休み歩く姿はなんともやりきれない光景だった。
この時代の高齢者の特性なのか、他人に助けられることを極端に嫌い、介護保険の利用を拒む二人。
男の美学といい、自分が動けるうちは自分が動くと言い張る父親。
介護における難しさともどかしさ。
遠く離れて住む一人娘と老々介護の現実。
もうすぐ目の前にせまっている私自身のこれからの介護について深く考えさせられる番組だった。