朝起きてリビングにいくと、休みの日でも無駄に早起きの夫が起きていなかった。
めずらしいことだ。
いつもは朝からテレビの前を陣取り、録りためたドラマや映画をみているのに。
まあいい。ゆっくりとコーヒーを飲みながらニュース番組をみる。
そのうち子供たちが時間差で起きてきて、それぞれの朝食を準備する。
合間に洗濯などの家事をこなし、一通り終えてリビングに戻ってもまだ夫はいない。
もうすぐ11時になるところだった。
おかしい。こんな時間まで寝ていることはまずない。
ここ最近、激務で帰宅が遅かった。出張も続いていたし、疲れていることは間違いないのだが、それにしても寝すぎではないだろうか。
もうすぐ50代。表向き健康だが、何が起きるか分からない年代だ。
昔、知人の旦那さんが朝起きてこなかったため、見に行ったら亡くなっていたということがあった。くも膜下出血だったそうだ。
まだ40代。全く予想だにしなかった出来事で、その知らせを聞いた私もとても驚いたことを覚えている。
もしかしたら…悪い考えがよぎり、夫の寝室をそっとのぞく。
こちらに背を向けて横向きに寝ていたため、表情はわからない。
じっとみていると、体がかすかに上下に動き、呼吸をしていることはわかった。
生きてるな。
ほっとして、そっと扉を閉めた。
その後、しばらくしてからひどい顔と寝ぐせだらけの頭で起きてきた。
「起きてこないから死んでるかと思ってのぞいたよ」と言ったら、「知ってる、それで起きちゃったから」と少し責めるように言われた。
せっかく心配してやったのに。