25年程の長い付き合いのある友人がいる。お互い結婚し、それぞれ地元から離れた所に住んでいるため、なかなか会う機会がないものの、頻繁にメールなどでたわいもないやり取りをしている。
彼女には子供がいない。
私よりも結婚は遅かったが、それでも出産にはまだ間に合う年齢ではあった。ずるずると出産適齢期を逃し、今に至る。
それなりに子どもを望んでいた時期もあった。しかし、いわゆるご主人とのレスで結果的には子供を授かることができなかった。
そんな私と同じ40代を生きる彼女。子供がいないにもかかわらず仕事をしようともしない。
別に夫婦二人、ご主人の稼ぎだけで生活していけるのなら働かなくてもいい。のんびりとした日常を送ることはよいことだし、充実している。そうできたらいいのにと羨ましくさえ思う。
しかし先日、「お金がない」と話していた。
なら働けばいいのに。
その話を聞く随分前から私は彼女に働くことをすすめている。
毎日何してるの?と聞けば、何もしてないという。
なら働けばいいのに。
暇で家にいるとだらだらしてしまう。好きな時に食べて好きな時に寝ているからかなり太った、など聞かされる。
なら働けばいいのに。
金銭的なことだけではなく、毎日なんとなく過ごしている様子の彼女の話しを聞くたびに、生活にメリハリをつけるためには働いた方がいいと思った。
思えば、彼女は昔から、働くことが好きではなかった。
20代の頃に彼女が会社に勤めていた時も、理由をつけてはしょっちゅうサボっていた。
「めんどくさくなっちゃって。」といい、休み明けの月曜日に休むことも多々あった。
基本、なまけものなのだ。
それでいて、なかなかの浪費家。お金もなくなるはず。
お金がないなら働けばいいのに、働くしかないでしょう、と言っても、
「たまに体調がすぐれなくて、動けない時があるから迷惑をかける」
「生理痛がひどい時もあるから」などの理由をつけて働くことを避けている。
たしかに私も40代になってからわけもなく体調がすぐれないことが以前よりも増えた。こんな時に通勤するのはしんどいだろうな、在宅仕事でよかったと思うことも多々ある。
しかし、世間の40代は頑張っている。
子供がいれば、仕事に加えて学校のこと、習い事、自治会のことなど、面倒くさいことが山ほどある。どんなにいやでもやらなくてはならないことがたくさんある。
もちろん、時には体を休めることも必要だし、何か理由をつけてサボることもありだと思う。しかし、それは毎日しっかり何かをやり遂げていることが前提で。
もちろん、彼女には持病もなく、精神的な病などのなにか身体的、精神的に働けない事情があるわけでは決してない。
私からしてみれば、時間に制限がないフリーな彼女がうらやましい。条件のいい求人広告をみるたびに、彼女ならあれもこれも応募し放題なのにと自分と比較してしまう。
言い訳ばかりして苦しい道を避ける彼女を私は時には軽く叱る。彼女のこの先の人生が心配だから。
「もし、ご主人が病気や不慮の事故などで先に死んでしまったらどうするの?」
「高齢のご両親にだっていつまでも頼れないんだよ。」と小うるさく言う。
まるで小姑のように言う私を彼女はどう思っているのだろうか。
でもやはり心配だからこの先も時々言ってしまうのだろう。
友達だから。