ここしばらく、庭の垣根から電線にかけて大きなクモの巣が張られている。
巣の真ん中には、大きくて黒と黄色の模様が目立つグロテスクなクモが鎮座。
見た目にもよくないため、長いホウキでクモの巣を取り払うが次の日にはまた新しい巣が作られる。
先日の台風の後、さすがにクモの巣は跡形もなく、クモ共々どこかに飛ばされたのだろうと安心していたが、しばらくするとまた巣が張られていた。
すごい生命力だなと感心するとともに、どうしようかと対応に悩む。
決して虫は嫌いではない。
庭にいるバッタやコガネムシ、チョウチョなど平気で触れるし、蚊やゴキブリなどの駆除も問題ない。
しかし、クモは違う。
子どもの頃からクモは駆除してはいけないと耳にしていた。
それは神様の使いであるから、と。
小学生の頃に授業でやった芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を読み、ますますその言い伝えは重みを増した。
そのため、子供の頃から家で見かけた小さなクモさえも優しく手のひらで包み込み外へ逃がしてきた。
迷信であろうが大人になった今でもやはり駆除はできない。
庭にいるクモはたとえそうでなくても駆除するには戸惑う大きさ。
昨日からは、いつものクモの巣とは違う別のクモの巣が張られていて、真ん中には少し小さいクモが堂々と手足を広げていた。
我が家の庭は居心地がいいのだろうか。木々が多く、様々な虫がいるため、エサに困らないのかも知れない。
しかし、さすがにどうにかしなければならない。
大きなクモの巣が2つも張られた我が家はあまりイメージがよろしくない
また長いホウキを持ちだして朝から奮闘し、クモの巣とともに大きなクモも捕獲。
もう一つのクモの巣は届かない高さにあるためそちらの駆除は一旦保留。
さて、捕らえたクモをどうするか。
このまま庭に離してしまったら同じこと。
ひとまず、子どもが昔使っていた虫かごをひっぱりだしてきてそれにクモを移した。
家事と仕事を済ませてから、小さいお菓子の空箱にクモを入れ近くの公園に向かう。
緑が生い茂る広い公園。ここなら思う存分巣が作れるだろう。
せっかく作った巣を何度も壊されることもなくのんびりと平和に暮らせるだろう。
どこにクモを離そうかと迷いながら進む道筋には巨大なクモの巣がたくさん張られている。
自然あふれるこの場所はエサは豊富だろうがライバルも多いようだ。
どうか天寿を全うしてほしい。
私の苦労を無駄にしないで。