毎朝毎朝、長い時間をかけて髪のセットをする我が子。
難しいアレンジをするわけではなく、ただ一つに結ぶだけの単純な髪形にもかかわらず、鏡の前からずっと離れない。
何度も何度も結び直し、学校では使用を禁止されているスプレーやクリームをバレない程度の絶妙な量を使って整える。
ようやく終わりを迎えたかと思えば次は前髪。濡らしてはドライヤーで乾かし、また濡らしては乾かし…。
見かねて私が使っているヘアアイロンをすすめてみたが、一度おでこにやけどをし、それ以来使っていない。
ギリギリまで髪の毛に時間を費やし、時間だよ、大丈夫?と声をかけると、イライラした声で全然大丈夫だからと答える。
終わるとバタバタと準備をし、あれがないこれがないと探し出す。
全く大丈夫ではない。
ほおっておけばいいのだけれど、待ち合わせて一緒に行っている友人に迷惑をかけてしまう。だからやっぱりあれこれと急かしてしまうだ。
いってらっしゃいと声をかけてもイライラしている子どもからの返事はない。
私もイライラしながらそんな子供の背中を見送る。ため息が出る。
昨日も今日もいつもいつもそんなに時間をかけてセットするけど、私にはなにも変わらないように見える。
「そんなに時間かけても何も変わらないんだから…」と言いたいのをグッと堪えている毎日。
親子の断絶を招きかねないこの一言は絶対言ってはならない。