朝、ゴミ捨てにいくと、近所の中学生が登校する姿がみえた。その後からゴミ袋を片手に母親がついてくる。その子に「がんばってね」と声をかけて見送っていた。
私がいるのに気が付くと、挨拶の後に「少し熱があるんだけどテストだから行かせたの」とのこと。
「そうなんですね、お大事に」と返事してその場を離れた。
このコロナ禍で熱があるのに学校に行かせる?と疑問を持たずにはいられない。
わが子が通う学校では、熱があればもちろん、少しでも体調がすぐれないときは休ませてくださいとお達しがあった。
家族の誰かが熱がある時は、本人が平熱でも学校を休むようにとまで言われている。
それなのに。
しかし、批判的な思いもある一方、同じ親としては完全批判はできない気持ちもある。
テスト。
それに向けて日々頑張ったであろう子どもを思えば、本番当日休むなんて努力が無駄になってしまうし、成績にも影響があるはず。
おそらく、親よりも本人の強い希望で学校に行く判断をしたのではないだろうか。
今はまさに受験シーズン。
学校内のテストならまだしも、これが受験本番の当日だったとしたら。
この先の人生を左右するといっても過言ではない一大イベント。
この日のためにずっと頑張ってきたのに当日発熱してしまったら。
おそらく私も行かせてしまうのではないだろうか。
もちろん、起き上がれないほどの体調の悪さであれば別だが、本人の体力気力次第で、解熱剤を飲ませてでも受験に向かわせてしまうと思う。
この時ばかりは自分たちのことだけしか考えられず、他人のことなんてもう知らない、というのが本音ではないだろうか。
きっと多くの親も同じように思うのではなかろうか。
だから熱があるにもかかわらずテストに向かわせたその方の気持ちはわからなくはないのだ。
たぶん、ばったり会ってしまい、咄嗟に本当のことを私に伝えてしまったであろうその母親。
今頃、私に話してしまったことを後悔していることだろう。
大丈夫。近所の人や知り合いには絶対言いませんから。